G1・G2 概念ER図 ─ 需給予測コアエンジン × 営業情報基盤

たまご&カンパニー株式会社 様 / 営業部向け業務システム / 概念データモデル
提出元:株式会社YRKand  |  お打ち合わせ日:2026年5月8日  |  バージョン:v0.3(概念ER)
① データの参照元(社内基幹/外部データ)
② G2 営業情報基盤(SFA/BI ハブ)
③ G1 需給予測コアエンジン
④ データの参照先(画面・意思決定)
⑤ 監査ログ・履歴
関連(参照・所属)
主要データフロー
※ ④参照先(V01〜V06)は厳密には「データベースのエンティティ」ではなく「アプリケーション画面(View)」ですが、データの行き先を理解しやすくするため本図では同じ図中に併記しています。論理ER設計フェーズでは画面定義書として別文書化されます。
① データ参照元 ② G2 営業情報基盤(SFAハブ) ③ G1 需給予測コアエンジン ④ 参照先(画面・判断) E01 | 参照元 取引先マスタ イオン、セブン&アイ、ライフ等/本部担当所長紐付 E02 | 参照元 SKU(商品)マスタ 森のたまご、伊勢の卵、PB品等/規格・サイズ E03 | 参照元(基幹) 販売実績 日付×取引先×SKU×数量×金額(基幹より) E04 | 参照元(外部) 外部データ統合 JA全農たまご相場(毎日9時) 気象/POS(True Data等)/鳥インフル発生情報 E05 | 参照元(EDI) EDI受注 取引先からの確定発注/流通BMS等 E13 | 参照元(人事) ユーザー(営業組織) 営業所長/営業担当/営業事務/本部 E20 | 参照元(社内基幹) S&OP連携(生産計画) 工場・農場の生産能力/生産計画値 荷繰り会議で需要計画と突合 E06 | G2ハブ 商談履歴・約束事項 バイヤー商談議事録/前回約束/次回提案テーマ 音声議事録AI(Notta/tl;dv)→ SFA自動登録 E07 | G2ハブ 店頭ラウンディング情報 棚画像/フェース数/競合価格/欠品状況 NEC棚SCAN-AIで画像→構造化データ E09 | G2ハブ(BI) 取引先LTV・予算実績 過去〜将来5年の粗利貢献・取引深耕度 危機時配分の重み付けに使用 E10 | G2ハブ 競合・市場データ 他社PB価格/チラシ/カテゴリーPOS 営業の提案・需要予測の補助インプット E18 | G2ハブ 新商品導入提案ログ 取引先別カスタマイズ提案資料の生成履歴 生成AI × E06商談履歴で資料を自動再編集 E19 | G2ハブ リード・新規取引先候補 AI抽出リード/MA反応スコア 採用後 E01 取引先マスタへ昇格 E11 | G1 コア(中核) ※処理+出力データ 需要予測コアエンジン 取引先 × SKU × 日次粒度で予測値を出力 LSTM/Prophet/XGBoost アンサンブル 日次/週次/危機時 3ビューに同一値を供給 ★ ヒトを介在させずAIが算出 E12 | G1 補助モデル 相場時系列予測 JA全農たまご相場の3ヶ月先予測 コアエンジンの説明変数として組込 E08 | G1 承認ゲート(ヒトが介在する唯一の点) 予測値の承認記録 AI予測値に対する 承認 / 差戻し / 修正 承認権限と最終責任 = 「商人として」の文脈 ★ AI予測 → ヒトの承認 → 実行 E14 | G1 日次出力 確定発注(日次) 予測値 vs EDI受注の差異検知 → 例外承認 承認後 EDI/API で生産・物流に展開 E15 | G1 週次出力 荷繰りセッション(週次会議) 毎週水曜:AI予測値を営業所長が承認 差戻し時のみ修正、それ以外は承認のみ E16 | G1 危機時出力 配分計画(鳥インフル等) 予測値 × LTV(E09) × 線形計画法 複数シナリオ → 経営承認 E17 | 監査ログ 予測・承認・差戻しの履歴 誰が・いつ・何を承認/差戻したか(最低5年保管) 鶏卵供給責任の説明責任を果たす V01 | 参照先・画面 営業部員ホーム 担当先一覧・ToDo 商談履歴・店頭ラウンディング V03 | 参照先・画面 日次承認画面 差異の閾値超過のみ表示 営業事務がワンクリック承認 V02 | 参照先・画面 荷繰り会議画面 AI予測値の承認 / 差戻し 毎週水曜・営業所長 V04 | 参照先・画面 危機時配分画面 鳥インフル等 緊急対応 経営承認 → 配信 V05 | 参照先・画面 経営ダッシュボード 予実・LTV・予測精度 経営/営業本部 V06 | 参照先・連携 生産・物流連携 EDI/APIで自動展開 GP工場・配送センター 所属 記録者 過去の事実(販売実績) 未来の予測(相場・天候) 日次発注 生産計画値 未来の予定(商談事象) 危機時の重み ★ AI予測値 採用後 取引先化 承認履歴を記録
読み方ガイド

左から右へ「データの流れ」を読みます。左端の ①参照元(社内基幹・外部の生データ)から、中央の ②G2 営業情報基盤(営業活動を一元管理する箱)と ③G1 需給予測コアエンジン(AIが予測値を出す箱)を経て、右端の ④参照先(営業・経営が日々見る画面と判断)に到達します。

本システムの設計思想(v0.3で確定)

AIが予測 → ヒトが承認 → 実行 という分業を貫きます。需要予測値は「過去の事実」「未来の予測(天候・相場)」「未来の予定(販促・商談で得た事象)」を勘案してヒトを介在させずAIが算出。ヒトの役割は E08 承認ゲート でAI予測値を承認・差戻し・修正することのみで、これが「商人としての承認権限と最終責任」となります。商談履歴・店頭ラウンディングは「営業の感覚」ではなく「事象」として AI予測モデルの説明変数に直接流れます。

2種類の線の違い

  • 細い実線(関連・参照・所属):エンティティ同士の参照関係を示します。「取引先マスタが商談履歴に紐付く」「販売実績が経営ダッシュボードで使われる」など、データを 参照 する関係です。データそのものの大量移動は伴いません。
  • 太い赤の点線(主要データフロー):システムの動作上、定期的に大量のデータが実際に 流れる 経路を示します。本案件で最も重要な E11 コアエンジン → E08 承認ゲート → E14/E15/E16 実行ビュー の縦の流れが、新方針の中核です。

各箱(エンティティ)をクリックすると、画面右下にパネルが現れ、「保持する項目」「データの流入元」「流出先」が表示されます。

補足図:処理サイクルの時系列
ER図は「データがどこに置かれているか」を示すもので、「いつ動くか」までは表現できません。本図では実際の業務サイクル(日次・週次・危機時・継続)における処理の流れを時系列で示します。
日次サイクル 毎日繰り返す 365日稼働 朝(9:00頃) 外部データ自動取込 JA全農たまご相場(毎日9時) 気象・POSなど → E04 日中 AI予測実行 取引先×SKU×日次粒度で算出 ヒトの介在なし → E11 夕方 EDI受注 vs 予測値 突合 差異が閾値超過 → 営業事務が承認 閾値内は自動承認 → E14・E08承認・V03 夜(バッチ) 生産・物流に展開 EDI/APIで翌朝出荷へ 確定発注値が GP工場へ → V06 週次サイクル 毎週水曜が中心 荷繰り会議 月曜 週次予測の自動生成 翌週〜翌月の取引先×SKU別予測 商談履歴・店頭情報も組込 → E11→E15 火曜 事象データの最新化 商談履歴・店頭ラウンディング 生産計画値 連携 → E06・E07・E20 ★ 水曜:荷繰り会議 営業所長5名がAI予測を承認 承認 / 差戻し(理由付き) バランシングU・盛井氏も同席 → E08承認・V02 水曜夕方〜木曜 承認確定 → 生産計画反映 工場・農場の生産計画調整 取引先への内示・調整 → V06 危機時サイクル 鳥インフル等 発生時のみ起動 発生検知 鳥インフル発生情報を自動取込 農水省RSS/自社農場/取引先 影響量を即時試算 → E04 即時(数十分内) 配分シナリオの自動生成 予測 × LTV × 線形計画法 複数シナリオを並列で算出 → E16 数時間内 経営による承認 営業本部長/経営がシナリオ選択 差戻し時は配分条件を再指定 → E08承認・V04 配信 取引先・生産・物流へ通知 QP等の業務用 → 振替案 パック卵への配分調整 → V06 継続(常時) バックグラウンド で動き続ける マスタ・実績の同期 取引先・SKU・販売実績・人事 基幹システムから日次バッチで連携 AI予測モデルの再学習データに G2情報基盤の蓄積 商談履歴・店頭・LTV・リード 営業活動と並行してSFA/BIに蓄積 G1予測の説明変数として活用 監査ログ記録 承認・差戻しを5年保管 鶏卵供給責任の説明責任 後追い検証可能
参照元(データ取込)
G2 情報蓄積
G1 AI処理・承認
実行系展開
監査ログ
補足解説:なぜ「LSTM/Prophet/XGBoost のアンサンブル」を採用するのか
E11 需給予測コアエンジン の中核アルゴリズムについて

需要予測の精度は、本案件の成否を左右する最も重要な技術ポイントです。卵の販売数量は 「過去の販売パターン(季節性・週次変動)」相場・天候・販促などの外部要因」「商談で得られる先行情報(特売予定・新規SKU導入)」の3種類の情報から立体的に決まります。1つのアルゴリズムだけではこの3種類すべてを捉えきれないため、それぞれが得意な3つのモデルを組み合わせる「アンサンブル」方式を採用します。

Prophet
Meta(旧Facebook)社製・OSS

得意:季節性とイベントの捕捉。年間サイクル(12月需要ピーク・夏低)、母の日/お盆/年末などのイベントを「祝日効果」として明示的に扱える。

役割:卵の年間相場サイクルやキャンペーン期の特需を捉えるベースライン予測。

XGBoost
勾配ブースティング決定木

得意:多数の説明変数(相場・天候・販促・競合価格・LTV等)を同時に評価し、変数間の複雑な相互作用を学習。

役割:「相場が上がり、かつ気温が下がり、かつ特売が重なる」のような複合条件下での需要変動を捕捉。

LSTM
深層学習・リカレントニューラルネットワーク

得意:時系列データの「文脈」「直前の流れ」を記憶しながら次を予測。鳥インフル発生後の回復軌道など、過去の事例パターンの再現に強い。

役割:需給ショック後の動的な戻り方を捕捉。データ量が十分あるSKUで高精度。

なぜ3つを「アンサンブル(組み合わせ)」するのか

3つのモデルそれぞれが得意領域・苦手領域を持ちます。Prophetは季節パターンに強い反面、複雑な変数間の相互作用は捉えにくい。XGBoostは変数の影響度評価に優れる反面、長期トレンドの自然な外挿は苦手。LSTMは時系列の動的変化に強い反面、データが少ないSKU・新商品では性能が落ちます。3つの予測値を加重平均することで、「どれか1つが外しても、他の2つが補正する」頑健な予測が実現できます。これは食品・小売業界の需要予測で実績のある定番構成で、マルイ豆腐・納豆事例(精度96.3%)などでも採用されています。

他の候補との比較

候補方式 メリット デメリット・採用しない理由
本案:3モデル
アンサンブル
3種の情報源(季節性・外部変数・時系列文脈)すべてを統合。1つのモデルが外しても他で補正可能で頑健。食品業界の標準構成。 3モデル分の学習・運用コスト。チューニングとモデル間の重み調整が必要。
従来統計モデル
(ARIMA/指数平滑等)
実装シンプル、計算軽量、解釈しやすい。 外部変数(相場・天候・鳥インフル)を扱いにくく、急変への追従が遅い。日配品の精度には不十分。
大規模Transformer
(基盤モデル系)
最先端の表現力。長期依存も学習可能。 必要データ量・GPUコストが大きい。同社のSKU・取引先別データ量では過剰スペックでROIが見合わない。
LSTM単体 時系列の動的パターンに強い。 外部変数の解釈性が低く「なぜこの予測値か」を営業に説明しにくい。新商品・低頻度SKUで性能が出ない。
XGBoost単体 変数寄与度が見えやすく説明性が高い。 時系列の連続性を陽に扱わず、長期トレンド外挿で歪みが出やすい。
SCM製品の
標準予測機能
(RELEX等)
製品買えば即利用可、ベンダー保守。 アルゴリズム内部はブラックボックス。鶏卵業界固有の変数(相場連動・鳥インフル)チューニングは別途カスタムが必要となるため、結局アンサンブル設計の知見は必要。

方式選定の前提 本構成は概念設計段階の方針です。最終的なモデル構成は、PoC段階で実データを用いて精度(MAPE)・運用容易性・説明性を比較検証した上で確定します。SCM製品を採用する場合は、製品標準機能とカスタムアンサンブルのいずれを採用するかを製品評価とあわせて決定します。